私の馬 / My Horse

新潮社刊 2024年

2024年9月発売

私の馬

Outline

共に駆けるだけで、目と目を合わせるだけで、私たちはわかり合える。
造船所で事務員として働く瀬戸口優子は、通勤途中の国道で、馬運車から逃げ出した元競走馬と運命的な出会いを果たす。「彼」の名はストラーダ。街のはずれにある乗馬クラブで彼に跨った優子は、誰よりも「彼」と心を通わせる感覚を味わい、その馬にのめり込んでいく。

ストラーダの栄光の復活のため、優子は組合の金に手をつけ始める。帳簿を改ざんして「一時的に借りるだけ」だったはずの横領額は、気づけば億を超えていた。やがてその罪は同僚の男・丑尾の知るところとなり……。
言葉が氾濫する現代の本質を問い、わかりあえない人間たちの魂の悲喜劇をサスペンスフルに炙り出す、疾走エンタテインメント。

To ride together and to look into each other’s eyes – that was all it took to understand one another.

Yuko Setoguchi, who works as a clerk at a shipyard in a desolate provincial town, has a fateful encounter with a former racehorse that escaped from a horse-drawn cart on the national highway on her way to work. The horse’s name is Strada. The horse was sold to a club on the outskirts of town as a riding horse. When she sits astride the horse, she feels a sense of destiny and falls in love with the horse.

In order to restore Strada to its former glory, Yuko begins to embezzle the union’s money. She falsifies the books and embezzles what was supposed to be in her mind, a temporary loan. The money quickly exceeds a hundred million. Soon the crime becomes known to her colleague, a man named Ushio…

The story questions the nature of today’s word-overloaded world and exposes the tragicomedy of people who cannot understand each other. Exhilaratingly fast and entertaining – the author’s beset yet.

Impressions Impressions

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冒頭の一文で浮かんだ画に、リズミカルな足音でメロディが流れて、匂いや香りでより立体的に近く感じられました。自分自身が昔感じたような匂いを思い出して、まるで体温を感じるくらい近くに馬がいるみたいな、途中、物語を読んでいることを忘れてしまうような不思議な感覚にもなっていました。

[ 20代 / 匿名 / 書店 ]
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自分と重ねることが多く、自分以外の人もふとしたきっかけで馬相手に盲目になってしまう危うい感じがとても身近で、私は身の丈にあった乗馬ライフを過ごす予定なので横領はしませんが、本当に一線を越えるか超えないかのあやうさを読みながらずっと感じました。乗馬をしない人にもわかりやすく乗馬の嫌なところを知れる文章も乗馬クラブにいる者としてもっと世の人に読んでもらいたいところです。

[ 20代 / 女性 / 書店 ]
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読み始めてしばらくすると、途中で読むのを止められなくなっていました。どんな展開になるのか?ページをめくる手は止まることなく、手に汗握る感覚で、気がつくと時間を忘れ一気に最後まで読み終えていました。様々な葛藤を抱えて生きている人間達の描写がリアルで、本を読んでいるのにまるで映画を観ているかのように映像が目の前に広がりました。とても面白かったのはもちろんですが、幸せとは何なのか?色々と考えさせられる小説でした。

[ 50代 / 男性 / Amazon(紙) ]

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