神曲 / God Song

新潮社 2021年

神曲

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この小説を書いた頃(今もだけれど)、僕自身も僕の周りも「不信」にまみれているように感じた。
国を、会社を、友人を、信じられない。夫や妻、親や子供も信じるのが難しい。
そんな時代に「神の正体」を描くことで、「信じること」について考えてみようと思った。

通り魔によって息子を喪った。
その悲劇を乗り越えるために、不思議な聖歌隊に依存していく家族の物語。

タイトルを新潮社の担当編集の中瀬ゆかりに伝えたら、それならばダンテ同様三部構成にするべきだと言われた。地獄、煉獄、天国。神を信じられない父、信じ込む母、その間で揺れる娘。家族という最小の単位で、最も大きなテーマを描こうとした。

エンディングは、自分でもまったく予想のしない方向に展開した。
書きながら著者自身が驚いたのだから、きっと読者にも驚いてもらえるはずだ。
あの結末を描けたことで、信じるものをひとつ、見つけられた気がしている。

One day, the peaceful life of the Danno family, who run a small bird store, suddenly came to an end. One day, the Danno family’s peaceful life, which had been a family business, came to an abrupt end when their son, an elementary school student, was killed by a street pervert.
Please let me sing for your son. A mysterious choir comes to the Danno family in their grief.
Despite the father’s skepticism, the mother and daughter gradually regain their hearts through singing. ……

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